グローバル・マーケティング研究会ーサムスンのグローバルビジネスと競争力


昨日、2012年5月14日は第54回グローバル・マーケティング研究会に参加してきました。  明治大学経営学部大石芳裕教授が主催される研究会で、今回は「サムスンのグローバルビジネスと競争力」と題して、サムスンSDI の佐藤登常務の報告でした。

佐藤登さんのお話は明快でわかりやすく、引きこまれて1時間を超える報告を聞きました。  が、改めて資料を読み返してみると、その内容は詳細で具体的ものと、マクロ的な産業界、世界の分析、双方が含まれていて、その内容が充実していたのに驚かされます。

今回特に印象に残ったのは、サムスンの変化の速さを支える意思決定の方法とその組織

例えば、各社にある戦略企画室と会社経営陣による経営判断、また各社の経営判断とグループ全体の未来戦略室での判断、一切矛盾はなく、その責任の大きさ、重さにおいて、統一した判断がなされている、とコメントされていました。  「むしろ大きな組織統合などは、戦略企画室なしでは、調整、決断できない」と加えられていました。

現在、一つの帰結であるマトリックス的組織。  「良い点、悪い点あるが、現在唯一効果的な組織構造である」と私の前職、アメリカン・エキスプレスでも評価されていました。  例えば、地域、事業部、これに戦略企画室やプロジェクトなどが加われば、上司に報告すべきレポートラインも3本、4本が当たり前になって来ます。  そこで矛盾を来さないようにするためには、各自の責任が明確に規定されていることが必要です。  一番明確なのは、責任判断の基礎となる決済できる金額でしょう。  これに責任の裏返しですが、結果に対する評価。  これが、自分の100%のタスクに対して、40%地域、30%事業部、20%戦略企画室、10%プロジェクト、などと予め合意された上で、事前に公開された客観的な基準で評価されることが必要です。  これまで何度か書いていますが、このタスクに対する評価と、リーダーシップに対する評価が合わさって、各自の年俸やインセンティブが最終的に決定されます。

各国の現地法人と本社の判断の矛盾についても質問がありましたが、責任の範囲が事前にちゃんと設定されていれば、各国はその責任範囲で決済できるし、それを超えるものについては本社の判断を仰がなければならない、と判断の矛盾は起こりません。   日本企業の判断の遅さの原因の一つに、現地法人で決済できる金額が明確で無い為に、すべての判断を本社に仰がなければならない、といった話は、よく耳にします。  日本企業がグローバルに展開し、決断を早めるためには、克服しなければならない点です。

実際に、サムスンSDIの常務であり、かつ戦略企画チームのメンバーでもある佐藤登さんのお話は、この点でも説得力がありました。

他にも、これからの社会の見方、サムスン文化、サムスンの強点分析、弱点分析など印象に残る内容が満載でした。

次回グローバル・マーケティング研究会は、2012年6月19日 資生堂 中国事業推進室部長 大田正人さんの報告です。