グローバル・マーケティング研究会ーコカ・コーラのグローカライゼーション


2013年5月17日第66回グローバル・マーケティング研究会(明治大学経営学部大石芳裕教授主催)に参加して来ました。 今回の報告は「コカ・コーラのグローカライゼーション」日本コカ・コーラ、マーケティング&ニュービジネスIMC、副社長 鈴木祥子さんの報告でした。

コカ・コーラの歴史、ミッション、グローバル展開、2020Vision と呼ばれるビジネス戦略を非常に判りやすく、かつ深く語って頂きました。 やはり優れた戦略は、非常にシンプルで、誰にも判りやすく、理解されやすいという思いを新たにしました。 報告後の質疑もいつものように活発で、丁寧に答えていらっしゃる鈴木さんの深い理解が改めて強調されたように感じました。

今回私の印象に残ったのは、次の2点でした。

Chatter・チャター

「コカ・コーラで、マーケティングのベスト・プラクティスを、世界でどのように共有されているか?」との質問の答えの1つとして、複数の縦串、横串の同僚とコミュニィケーションを取ると同時に「いくつかのChatter のグループに属して、そこからも情報を取っています」との鈴木さんの答えでした。

Chatter とは、Salesforce が提供する社内のSNSプラットホーム。 要するにFacebook の社内版と考えればよいものです。 初期には、限られた機能しかありませんでしたが、現在では、Follow したり、されたり、グループを作って共同のコミュニケーションも取れるし、更に業務系の様々なプラットホームや顧客サービスとの連携も取れるように進化しています。 Salesforce のCEOであるマーク・ベニオフは2011年には「ソーシャル・エンタープライズ」という概念を提唱し、企業内のコミュニケーションがソーシャル化していく、と発言していました(2012年には、更に進化し、クラウド、SNS, モバイルでの変化を取り入れて、これからの企業のあり方を「カスタマー・カンパニィ」と称しています)。

さすがにアメリカ・ベースのグローバル・カンパニィであるコカ・コーラ、既に社内のコミュニケーションの一つとしてChatter を導入しています。 これによって、様々な社内のコミュニケーションにソーシャル化の変化が起きていることが想像出来ます。

「私が決めますから」

「本社からのプレッシャーや軋轢を感じることがありますか?」との質問、おそらく外資系企業は本社からの影響が強い、との先入観に基づく質問だったかもしれませんが、その答えが「感じたことはありません。 すべて私が決めますから」でした。

おそらく日本企業で働く人が、一番理解しづらいのが、権限>責任、そしてその責任に応じた>報酬という仕組みかと思います。 これまでの年功序列を前提とした給与制度のもと、誰も責任を取らず、その前提として誰が決定したのか、その権限は誰にあったのか、稟議の名のもとに権限、責任の所在があやふやになる組織である限り、またその組織に属している限り、理解が難しいでしょう。

鈴木さんは、一言「私が決めますから」と、日本でのすべてのマーケティング活動の権限が自分にあること、そして、その責任は自分が負うこと、を軽々と表現しています。 権限があり、責任を負うことを前提に、次々とビジネス上の判断をしていける人でなければ、勤まらないポジションですね。  コカ・コーラは、マーケティング活動において非常にローカルに権限移譲が進んでいる会社との印象を受けました。 コカ・コーラが得意とするイベント・マーケティングにおいても、本社がイニシアティブを取ったとしても、それを実施する権限は各ローカルに移譲されているのが印象的でした。

次回のグローバル・マーケティング研究会は6月25日、繁田奈歩さん(InfoBRIDGE)によるインド関連の報告です。