(株)良品計画のグローバルSCMへの取り組み

2014年11月19日、グローバル・マーケティング研究会(明治大学経営学部大石芳裕教授主催)に参加してきました。 第83回となる今回は、株式会社良品計画の常務取締役、小森孝さんの「(株)良品計画のグローバルSCMへの取り組み」と題した報告でした。

まず最初に、事業内容、事業の要諦を説明、その後
無印良品のコンセプト
商品開発
海外事業展開、グローバル化の基本方針
基幹となるMDプロセス、グローバルMDプロセス、システム開発
グローバル・ロジスティクス
ITと一体になった業務改革
最後に、 と言った内容の報告でした。

「無印良品」のブランドで知られる(株)良品計画、商品の企画開発から製造、小売まで行う製造小売業として、その商品管理から流通までのサプライ・チェーン・マネジメントのグルーバル展開について話を聞くことができた貴重な時間でした。 2005年に大きくシステムを変更されていますので、お話の中心はどのようにシステム開発を進められ、なおかつその後の業務改善に役立てているかといったものでした。

大石芳裕教授の指摘は、製造小売業においては、サプライチェーン・マネジメントをどのようにグローバルで構成するか、さらにその基本的なコンセプトはグローバル・マーケティングの重要な一部である、と私自身理解させていただきました。

次回のグローバル・マーケティング研究会は、12月10日キッコーマンの海外事業部長、茂木修さんの「キッコーマンのグローバル・マーケティング」の予定です。


東芝のグローバル戦略ーグローバル・マーケティング研究会

2013年12月12日、明治大学経営学部大石芳裕教授の主催されるグローバル・マーケティング研究会に参加してきました。 今回は「東芝のグローバル戦略~海外B2Bへの取り組み~」と題して、株式会社東芝の顧問 志村安弘さんのご報告でした。

会社概要に続いて、
東芝グループの事業概要として、経営方針と経営環境、係数目標、海外事業体制
海外B2Bへの取り組みとして、なぜB2Bへ注力するのか、顧客要求へのアプローチ
最後に、これからの若い人たちへのメッセージ、と言った内容でした。
東芝のエネルギー、ストレージ、ヘルスケアの3つの柱を中心にスマートコミュニティを実現していいく姿、B2Bに注力する理由、B2Bにおけるマーケティング戦略が非常に理論的に報告され、大変わかり易い報告でした。

今回特に印象に残ったのは、次の3点でした。

B2Bマーケティングの特色

B2Bマーケティングにおける多様な取引関係を類型化、その多様な販売関係において保守サービスの質をどのように維持するか? コストとの兼ね合いで販売チャンネルを世界規模でどのように最適化していくか?がポイントと指摘されていました。 B2B2C, B2B2B、B2Bの指摘が新鮮で、さらにそのチャンネルの質とコストの最適化に苦心されている様子がわかります。 また、B2B領域での顧客視点とはどういったものか?について、顧客の価値づくりを共に進めること、と結論づけられていたのも印象的でした。 これを伝統的な4Pに当てはめ、Customer Solution, Customer’s cost, Customer Convenience, Customer Communication と再定義、それぞれを具体的に検証されていました。

ブランド

どうしても、日本をベースにした企業はブランドに対する考え方にバイアスがかかってしまうようです。 流通経路の複雑さから、商品ブランドが独自に発達・洗練された日本の特色もあるかと思います。 大石教授による補足にもありましたが、B2B の特化した企業においても、そのブランドが取引の成否に大きな影響を与えます。 どのように東芝ブランドを構築していくのか、今後の課題かと思われました。

組織

新卒を大量に採用して育てていく日本企業の特色からか、もしくは伝統的な人事部の役割にとらわれているのか、東芝では、マトリックス的な組織は採用されていません。 欠陥はあるが、これに変わる組織編成がないとして多くの外資系会社や日産等に採用されているマトリックス型組織、これが東芝に適合するのか? 最適な組織論として機能するのか? おそらく今後検討する課題となるのではないかと思いました。

次回のグローバル・マーケティング研究会は2014年1月16日、元日本サムスンの顧問、石田 賢さんのご報告です。


グローバル・マーケティング研究会-難解なインド市場、インドの地の利、人の利、活かし方

 

ちょっとPCのハードディスクの入れ替えなどでおろそかになっていたアップデート、2013年6月25日のグローバル・マーケティング研究会(明治大学経営学部大石芳裕教授主催)の様子をお伝えします。

今回はインフォブリッジ、繁田奈歩さんの報告で、「難解なインド市場ーインドの地の利、人の利、活かし方」でした。  これまで繁田さんは「インド消費者TOPからBottom まで計11階層(都市部7階層、農村部4階層)を分析し、インド消費市場の未来を展望する」(2010年9月30日)「インド:Tier2都市部の実相(恒例1000人調査)-5大都市だけでは戦えない巨大市場-」(2011年7月4日)の報告を通じて、インド市場の調査分析を報告されていましたが、今回は、ご本人曰く「ちょっと方向性を変えて」インド市場への戦略策定に踏み込んだ内容となっていました。  ご報告内容は、インドのアウトラインの確認、インド市場へのアプローチ、マーケティングの要点(マーケティング・アプローチ法)、となっていました。

今回の私の感想は、報告そのものは、繁田さんの意図どおりに、豊富な市場調査分析に裏打ちされた上での、マーケティング戦略、方法に踏み込まれ非常に内容の濃いものになっていました。 そして、そこから透けて見えて来るものは、なかなか決断できないでいる一部の日本の経営者の悩みだったような気がします。 すでにインドをこれから伸びていく巨大なアジアの消費市場と認識し、例えば、ヤクルト、味の素、ユニ・チャーム、スズキなどは、独自の方法論でインドでの活動を拡大しています。 そうでない、これからインド進出を考えている日本企業、本当に決断できないでいるのでしょう。 株主に対する経営責任、権限に基づく決断、決断の柔軟な変更方法の欠如などの文脈でも説明できるかもしれません。

あと気になったのは、このような傾向が2010年位から見られ、日本企業のインド進出熱が下がっているかのように見えるとのコメントでした。 すでにインド進出してしまっている企業を追いかける第2グループにその傾向が強いのかもしれませんね。

このあと、7月30日にもグローバル・マーケティング研究会が行われています。 株式会社エンジニアの高崎充弘さんの「モノづくり企業を活性化する4つの秘訣」です。 これはまた改めてアップします。


グローバル・マーケティング研究会ーコカ・コーラのグローカライゼーション

2013年5月17日第66回グローバル・マーケティング研究会(明治大学経営学部大石芳裕教授主催)に参加して来ました。 今回の報告は「コカ・コーラのグローカライゼーション」日本コカ・コーラ、マーケティング&ニュービジネスIMC、副社長 鈴木祥子さんの報告でした。

コカ・コーラの歴史、ミッション、グローバル展開、2020Vision と呼ばれるビジネス戦略を非常に判りやすく、かつ深く語って頂きました。 やはり優れた戦略は、非常にシンプルで、誰にも判りやすく、理解されやすいという思いを新たにしました。 報告後の質疑もいつものように活発で、丁寧に答えていらっしゃる鈴木さんの深い理解が改めて強調されたように感じました。

今回私の印象に残ったのは、次の2点でした。

Chatter・チャター

「コカ・コーラで、マーケティングのベスト・プラクティスを、世界でどのように共有されているか?」との質問の答えの1つとして、複数の縦串、横串の同僚とコミュニィケーションを取ると同時に「いくつかのChatter のグループに属して、そこからも情報を取っています」との鈴木さんの答えでした。

Chatter とは、Salesforce が提供する社内のSNSプラットホーム。 要するにFacebook の社内版と考えればよいものです。 初期には、限られた機能しかありませんでしたが、現在では、Follow したり、されたり、グループを作って共同のコミュニケーションも取れるし、更に業務系の様々なプラットホームや顧客サービスとの連携も取れるように進化しています。 Salesforce のCEOであるマーク・ベニオフは2011年には「ソーシャル・エンタープライズ」という概念を提唱し、企業内のコミュニケーションがソーシャル化していく、と発言していました(2012年には、更に進化し、クラウド、SNS, モバイルでの変化を取り入れて、これからの企業のあり方を「カスタマー・カンパニィ」と称しています)。

さすがにアメリカ・ベースのグローバル・カンパニィであるコカ・コーラ、既に社内のコミュニケーションの一つとしてChatter を導入しています。 これによって、様々な社内のコミュニケーションにソーシャル化の変化が起きていることが想像出来ます。

「私が決めますから」

「本社からのプレッシャーや軋轢を感じることがありますか?」との質問、おそらく外資系企業は本社からの影響が強い、との先入観に基づく質問だったかもしれませんが、その答えが「感じたことはありません。 すべて私が決めますから」でした。

おそらく日本企業で働く人が、一番理解しづらいのが、権限>責任、そしてその責任に応じた>報酬という仕組みかと思います。 これまでの年功序列を前提とした給与制度のもと、誰も責任を取らず、その前提として誰が決定したのか、その権限は誰にあったのか、稟議の名のもとに権限、責任の所在があやふやになる組織である限り、またその組織に属している限り、理解が難しいでしょう。

鈴木さんは、一言「私が決めますから」と、日本でのすべてのマーケティング活動の権限が自分にあること、そして、その責任は自分が負うこと、を軽々と表現しています。 権限があり、責任を負うことを前提に、次々とビジネス上の判断をしていける人でなければ、勤まらないポジションですね。  コカ・コーラは、マーケティング活動において非常にローカルに権限移譲が進んでいる会社との印象を受けました。 コカ・コーラが得意とするイベント・マーケティングにおいても、本社がイニシアティブを取ったとしても、それを実施する権限は各ローカルに移譲されているのが印象的でした。

次回のグローバル・マーケティング研究会は6月25日、繁田奈歩さん(InfoBRIDGE)によるインド関連の報告です。

グローバル・マーケティング研究会 コマツのグローバル戦略

2013年1月15日、グローバル・マーケティング研究会に参加してきました。 今回は”コマツのグローバル戦略ーグローバル・チームワークで働くこと”と題して、コマツ顧問日置政克の報告でした。 明治大学経営学部大石芳裕教授の主催されるこの研究会も今回で第62回となります。

日置政克さんは、コマツで人事部門を専門に35年以上勤められています。 今回は、以下の内容を豊富な資料と共に報告されました。
1 コマツの概要
2 コマツのグローバル経営
3 コマツウェイ
4 グローバル展開に伴う人事上の課題・視点

今回印象に残ったのは、以下の点でした。

経営の現地化を学ぶ

1980年代にアメリカでジョイントベンチャーを立ち上げた際に、アメリカ的な経営方法をしっかりと学んだ上で、それが現在のコマツの経営に生かされています。 日置さん曰く、実現するのに15年かかりました、とのこと。 よくコマツの経営、人事組織はアメリカ的であるなどとも言われますが、経営の基礎たる部分をしっかりとアメリカでのジョイントベンチャーから学んでいて、それを取り入れています。 もちろんそれを実現するためには”経営者のしっかりした後押しがあった”のも事実です。 またこれがあったからこそ、コマツのグローバル化を、ローカルの集合体がグローバルである、とか お互い違いを理解し、認め合うことからスタートする、など深い理解につながっているように思えます。

コマツ・ウェイ

2006年からとのことですが、しっかりとした行動規範が定められています。 “それまでコマツのやり方として実施されていたことを明文化した”とのこと。 またそれが、2012年には海外の社員の声を反映してよりわかりやすく改訂されています。 幾つかのグローバル化を目指す日本企業も行動規範を定めようとしていますが、コマツのようしっかりしたものになっていません。 どうしてもおざなりに作成されたり、会社の文化と呼べるほど浸透してないのではないでしょうか? その点、コマツの場合は、社員の行動規範として、企業文化と呼べるレベルになっています。 文化や社会背景が違う世界で事業をやって行く場合、そしてダイバーシティに敏感であるほど企業文化の確立が求められます。 それをコマツが実現しているのが、現在のコマツの強さを示していると感じました。

コマツ・ブランドの構築

現在コマツ・ブランド・マネージメントがマーケティングの取り組みとして行われています。 コマツとして、ブランドを構築して行くことによって、より高い価値を顧客に提供して行こうということで始まっています。 ブランドマネージメントは、顧客の認識をどのように変化させていくかの問題ですので、今後この活動がコマツの社内で活発化して行くことによって、これまでローカルに重きをおいていたマーケティング活動が、よりセントラルでのコントロールを必要としてくると言った変化を予想させます。 是非ブランド・マネージメントを成功させていただきたいと思いました。

次回のグローバルマーケティング研究会の日程は現在のところ確定していません。 今後、グローバル・マーケティング研究会のブログなどでご確認ください。