Salesforce World Tour Tokyo 2014 に参加

2014年12月4日に開かれた Salesforce Word Tokyo 2014 に参加してきました。 マーケティングを実践するものとして、マーケティングを実現するのにどのようなツールが利用できるのか、また、テクノロジー業界において明確にこれからのヴィジョンを語れるマーク・ベニオフがどのように考えて基調講演を行うかを知りたくて、ほぼ連続してSalesforce のイベントに参加しています。

salesforce2

今年のマーク・ベニオフは、良い意味で非常にリラックスしているように見えました。 日本でのSalesforce が安定的な成長期に入ったとみていいかと思います。 2011年に初めてマーク・ベニオフの基調講演を聞いた時の雰囲気とは違っています。 横並びを心地いいとする日本企業が雪崩を打ってSalesforce のクラウドを利用することになるでしょう。

今年の現状分析は、これまでのクラウド、ソーシャルネットワーク、モバイルに加えてビッグデータが取り上げられていました。 ビッグデータそのものは、ソーサシャル・ネットワーク、モバイルの構成要素でもありますので、それが特別に取り上げられたということは、それほどまでにクラウドで取り扱われるデータの量が増えているということ、実際Salesforce のクラウドで取り扱われるデータの量が2009年からうなぎのぼりに増えているチャートがマーケティングのセッションで示されていました。

これを前提に、Salesforce が示すグランドマップは、そのクラウドで提供する、Sales, Service, Marketing, Community, Analytics, Apps です。 これを今年は、The Customer Success Platform という概念で説明していました。 「世界と同じスピードでビジネスを展開する」ためのプラットフォームです。 今年は特にマーケティング・クラウド、そしてプログラム・コードを書く必要がなく、準備されたアイコンをドラッグするだけでモバイル・アプリを開発できる Salesforce 1 Lightning  というモバイル・アプリケーション開発のツールに焦点が当たっていたように思います。

これまで、2011年に企業におけるコミュニケーションがソ-シャル・ネットワーク化すると言う「ソーシャル・エンタープライズ」、2012年には顧客が選択と発言の自由を得て、企業と対等の立場を得たとする「カスタマー・カンパニー」を提唱していたマーク・ベニオフですが、今年は、クラウドでSalesforce が提供する価値として、「The Customer Success Platform」を提唱しているように思えます。

2014年6月に東京で予定されていたイベントには、マーク・ベニオフは参加せず、その直前のマイクロソフトとの業務提携に忙殺されていたようです、が、その後のヨーロッパでのツアーには参加していました。 重点をヨーロッパに移しているとも考えられます。 これとは別に、2015年6月にはニューヨークでMarketing クラウドのイベントを行うようです。 楽しみです。


フィリップ・コトラー

ちょうど年末にフィリップ・コトラーの私の履歴書の連載も終わります。 これまでに取り上げていないもので印象に残っているものをここにまとめておきます。

刺激を受けたのが1967年に出た「水平思考の世界」(エドワード・デ・ボノ著)だ。・・・・次の課題はイノベーティブになる組織作りだ。 いろいろな事例を考察し、「イノベーションのAtoF」をモデルにまとめた。 ・・・この「AtoF」とは、アイデアを思い付く人(アクティベーター)、本当に創造的で刺激的なモノか吟味する人(ブラウザー)、試行可能なコンセプトに変える人(クリエーター)、ビジネスモデルに発展させる人(デベロッパー)、新製品や新事業を立ち上げる能力のある人(エグゼキューター)、資金を提供できる人(ファイナンサー)だ。
イノベーションの真髄は経済学者、ジョゼフ・シュンペーターが指摘した「創造的破壊」だ。

1990年前後のことだ。・・・・会議は3部構成になっていて第一部は主要顧客3社の幹部を招き、IBMへの満足度を聞いた。 第2部は社内の支店長から本社の指示をどう思っているかを聞いた。 そして第3部はIBMの社員を主要な競争相手に見立てて、どのような戦略でIBMを攻撃してくるかを語らせた。・・・IBMの3つの議論は今でも立派に通用するはずだ。

名称は「ミュージアム・オブ・マーケティング3.0」(インドネシア、バリ島)。 カルタジャヤとの共著でマーケティングには3段階あることを指摘した書籍にちなんだ。  1.0は製品主義の時代、2.0は顧客主義の時代、3.0は世界を大切に思う気持ちを持つ時代と定義した。

空気が変わったのは04年。 経営学者C.K.プラハラードが著者「ネクスト・マーケット」で貧困層の手が届くような安価な製品やサービスを作るように訴えたのがきっかけだ。・・・・・・貧困から抜け出す処方箋を提示した「アップ・アンド・アウト・オブ・ポバティ」(邦題は「コトラー ソーシャルマーケティング」)を同僚のナンシー・リーと09年に出版した。

意識の高い企業文化を持つ経営陣と話していくうちに「資本主義は正しい選択であり、私達は資本主義をさらに優れたものにしていく必要がある」という前向きな気持になった。 そして新たな研究として資本主義の再考と解決策について執筆中である。

2014年秋、 タイ・バンコクで世界マーケティング・サミット(WMS) テーマは「新しいグローバル世界に於けるマーケティング」

(フィリップ・コトラー、私の履歴書、日本経済新聞)


日本への思い

「最後に勝つのは顧客価値」を学んでいたことだった。 競合企業よりも「優れた商品を安い価格」で提供すれば必ず勝てた。 「世界最強のマーケター 日本人」(1982年)

バブル経済が崩壊・・・「なぜ、日本はこうなったのか?」 成功を掴んだある種の傲慢さ、優れた起業家の後継CEOの独創性のなさ、意思決定の遅さ、雇用形態の硬直性、ウォール街的な短期利益の弊害などがあるだろう。

日本が再び活力のある社会になるには何が必要か。 革新性に富むビジネスモデルや新商品開発。 異業種との共創やクラウドソーシングの活用。 30秒のテレビ広告からソーシャル・メディアを使ったキャンペーンや情報投資への移行。 企業の戦略策定に関与する最高マーケティング責任者(CMO)の創設。 そして、ブランドに思想を持たせ、高貴な目的を持ったマーケティングへの取り組みだ。

(フィリップ・コトラー、私の履歴書、日本経済新聞)


ピーター・ドラッカーとフィリップ・コトラー

このお二方の交流もおもしろい。

彼は「マーケティングはNPOの経営と生活者にどのように役立つのか」聞いてきた。
「マーケティングはNPOにとって顧客のニーズ、願い、考えを深く理解することであり、顧客の生活を向上させることが可能になる」と答えた。 さらに「それぞれのNPOはニーズを明確に把握しているが、それが顧客のニーズに必ずしも沿ったものにはなっていません」とも。 「非営利組織の経営」1990年ピーター・ドラッカー

私はピーターが企業に投げかける4つの質問に感化された。 その4つとはこれだ。 「あなたの会社の本業は何か」 「顧客は誰か」 「顧客にとっての価値は」 「本業はどうあるべきか」

「企業の目的は顧客の創造である」 顧客創造のためには他社より優れた価値を提供し、顧客を満足させるしかない。 唯一無二の利益の源泉は顧客なのだ。

「企業の基本機能はイノベーションとマーケティングの2つしかない。 それ以外はコストだ」 前者は消費者の嗜好や技術が変化し続ける時代にあって、立ち止まっていられないからである。 そして、後者は新たな価値を生み出した製品を顧客に伝える手法の大切さを説いた。

マーケティングとセールスの違いも明確で彼は「マーケティングの目的はセールスの必要をなくすことだ」と言って、経営者を唖然とさせたこともある。

(フィリップ・コトラー、私の履歴書、日本経済新聞社)

 

NPOとマーケティング

マーケティングがNPOに役立つことがあるのか。 経営的発想をNPOに導入することがサービスの質の向上につながるという信念をもっていた。 「非営利組織のマーケティング戦略」1975年
(フィリップ・コトラー、私の履歴書、日本経済新聞)