日本商業学会ワークショップ・グローバルマーケティング研究会に参加


2010年5月28日 日本商業学会のワークショップとして開催された
第30回グローバル・マーケティング研究会に参加してきました

グローバル・マ-ケティング研究会は
1999年5月に開催された日本商業学会のワークショップから
設立されたものです

今回の、ワークショップのテーマは
”マーケティングが国境を超える意味の再検討”
このテーマに対して、以下の3つの報告が
報告40分、質問20分の形式で行われました

スティグマ管理としての国際マーケティング
ーアメリカにおけるマンガ出版を事例としてー
松井剛(一橋大学)

スティグマとは、属性とステレオタイプの間に見られる
特殊な関係であり、社会的な構築物であるとのこと
日本のマンガやコミックが文化規範の違うアメリカへ輸出される際に
このスティグマを管理するべく
年齢レーティングや修正、出版中止が行われた、との内容でした

丁度2007年から2009年3月までの
アメリカの現状を鋭く多指にわたって研究され
論理も明解で分かりやすい報告でした

国際間にまたがるサプライチェーンの構築
ーデジタルカメラの事例を基にー
伊藤宗彦(神戸大学経済経営研究所)

日本の家電メーカーとフランスの家電販売店フナック・Fnacとの
商品開発・流通・サービスを総合的に分析された研究です
フナックの販売戦略や在庫管理としてのサプライマネージメントが
非常に解りやすく解説されていました

商品評価を中心としたフナックの販売戦略が
どこまで国際的なマーケットで通用するのか、受け入れられるのか
そのあたりに、今後の研究の余地があるのではないか
と、個人的には新たな興味が持てました

越境とローカルな意味付け問題を考える
川端基夫(関西学院大学)

この報告は、ちょっと長いスパンで見た場合の
日本の小売業の海外進出がどのように変質してきたか
これを文化の面から意味付けし、その変容を考えてみた報告です

個人的には、時間軸のスパンが長すぎると共に
最近動きが反映されていない点
商品のサイクルが速くなっている現状を前提とすると
小売業においては特に2005年以降の動きは
欠かせないのではないでしょうか
また、最近の中国市場の急激な経済的な変化を考えると
経済的な視点を抜きにして、文化的な側面だけで考察するのは
どうしても、マーケティング理論として総合的な説明ができないのではないか
と考えてしまいました

報告会のあとの懇親会にも参加させていただきました
なかなか研究者の方とお会いすることも
お話させていただく機会もない中、
明治大学経営学部教授大石芳裕さんの主催される
グローバル・マーケティング研究会の一環として
このような機会を持ち得たことに感謝します

グローバル・マーケティング研究会・5月例会ー中国人に売る時代・徐向東


2010年5月18日、明治大学経営学部 大石芳裕教授が主催される
グローバル・マーケティング研究会5月例会に参加してきました

今回のテーマは、中国人に売る時代ー巨大化市場開拓の成功法則
と題して、株式会社中国市場戦略研究所、
上海伝沐商務諮詢有限公司代表の徐向東さんの報告でした

徐さんは、今回のテーマと同名である2冊目の著作を
昨年11月に日経新聞出版社から出版したばかり
すでに4版目に入っているとのことです

日々変わりゆく中国市場について
その市場での成功事例を交えながら熱く、丁寧に語っていただきました

今回印象に残ったのは、次の3点でした

急速に整備されて来ているインフラ

現在中国内陸部の国内需要の増加をよく耳にしますが
それを支えているのが、高速道路網、高速鉄道網を中心とした
中国全土にわたる交通インフラの整備
2020年を目標とする計画に従い、着々と整備されています
これによって、人の移動とともに物流が活発になってきており
中国通販が全国にわたって可能になってきています
このあたりの政府主導の整備計画、実施が
例えばインドなどとは、桁違いに実現されている印象を持ちました

中国人の生活にどのように役立つか

マーケティング戦略では基本的といえばあまりに基本的な視点です
が、これまで中国市場で成功できなかった日本企業に
欠けている点として指摘されていました

日本企業の一般的な傾向として、
あまりにデーターを重視し過ぎる、または時間をかけすぎ
実際の現場の雰囲気や、現実の中国人にとって
何がその生活の役に立つか、その訴求にかけているとのこと

最近の中国の変化のスピードは非常に早く
例えば、すこしでも上海を訪れるのに時間が空いてしまえば
上海は全くちがったか顔を見せてくれます
同様に、一般の人の生活も
同じようなスピードで変化しています
そんな変化が、中国全土で起こっているのを実感しました

販売チャンネルに固執しない

日本の企業にありがちな傾向として
ブランドを守るためとの理由で、特定の百貨店などに
販売チャンネルを固定してしまい失敗するケースも有るとのこと

この点については、前々回のネット通販についても変化が起こっています
一般の消費者の生活様式が急激に変化しているのと同様に
その中国消費者に対する販売チャンネルも
大きな変化が生じている印象を受けました
そんな中で、いかに変化に応じて販売チャンネルを創り上げるか
非常に重要なポイントであるとの印象を受けました

その他、中国のデータの読み方、
実質的な購買力の判定の仕方、
中国市場での日本商品の訴追のポイントなど
多くの点にわたって示唆に富んだ今回の報告でした

次回は、6月22日、JWトンプソン・大橋さんの報告です

グローバルマーケティング研究会・4月例会ーハウス食品の国際展開

2010年4月22日、明治大学経営学部 大石芳裕教授が主催される
グローバル・マーケティング研究会、4月例会に参加してきました

今回は、ハウス食品の常務執行役員・国際事業部長・野村孝志さんによる
”ハウス食品の国際展開”についての報告です
”中国カレー事業、米国大豆関連製品事業を事例に”
豊富な写真などの資料も用いて詳細に説明していただきました

今回印象深かったのは次の2点でした

中国を観る

野村さん自身、20年ほど前から中国の訪問・旅行を始め
現在でも、時間があれば中国の地方を1週間ほどかけて
旅行するとのこと、もちろん中国語も話されます

話の端々から、中国の現在の地方の最近の様子
中国で仕事を展開して行く際の様子が
本当によくわかる報告でした

上海や北京だけでなく、広い中国のいろんな地方を観てこそ
現在の中国の現状がわかる、それが実感できました

事業の集中

限られた資源をどのように集中して投資していくか
経営方針のもと、株主に対する責任をどのように果たすかを考えた場合、
資源・投資の集中は避けては通れない問題です
この前提として、現状の世界と日本の経済や政治をどのようにみるか
競合他社をどのように分析するか
自分の会社の強みと弱みがどこにあるのかを認識する必要があります

ハウス食品が海外で事業展開するにあたって
パートナーを非常にうまく選択しています
自分たちの強みを生かし、弱みを補完する形で
パートナーと 連携、事業展開しています
そんなことが、よく分かりました

その他にも
広告代理店をどのように考えて使っていらっしゃるのか
いわゆるアジアでの日式カレーの展開
アメリカでの業務展開
など感想・興味は尽きることがありませんでした

次回は、5月28日に日本商業学会のワークショップ
さらに、本研究会の例会が予定されています

グローバル・マーケティング研究会について
2010年1月例会
2010年2月例会
2010年3月例会

グローバル・マーケティング研究会 3月例会

明治大学経営学部、大石芳裕教授が主催される
グローバル・マーケティング研究会、3月例会に
2010年3月26日 参加してきました

このグローバル・マーケティング研究会は
1999年5月に日本商法学会のワークショップから発足しています

今回のご報告は、ラオックス・顧問の山下巌さんの
”中国企業の傘下に入ったLaOX
ーその歴史的必然と今後の展望ー”でした

2009年6月に秋葉原のLaOXが
中国・蘇寧電器・Suning (すーにんでぃえんちー)の傘下入った経緯を
交渉相手の中国側の事情なども含め
とても解りやすく報告していただきました

今回、そのお話から触発されて興味を覚えたのは

趣都の誕生 萌える都市アキハバラ
中国社会の契約観
中国市場のネット通販の可能性
の3点でした

趣都の誕生 萌える都市アキハバラ

過去も、現在も、これからも秋葉原はマニアの街でしょう
表題は、2002年3月に出版された
建築意匠論が専門で
現在、明治大学国際日本学部准教授・森川嘉一郎さんの
アキハバラを論じた書籍です
山下さんが、秋葉原の変遷を語る際に引用されていました

個人的には秋葉原には
ラジオ、オーディオ、スピーカー、レコード、PC、ソフトの街としての
印象が残っています
”萌え”の街としてのアキハバラは未体験ですが
1991年のバブル崩壊以降、地方の家電大型店の成長も
秋葉原の変質に大きな影響を与えています

”萌え”の文化は、日本に留学経験のある人によって
シンガポールに萌え喫茶ができるなど拡大しています

中国社会の契約観

1990年代に、よく会社内で
”契約書にサインしたその直ぐ後に
全く契約書と違うことを言い始める”
”中国が、経済的に成長してくると
現在の西洋の契約社会の世界が、変質してくるだろう”
と話していました

現実的な取引に秀でた中国社会では、
単純な、契約の観念はそのままでは運用されません

よくも悪しくも、日本は西洋的な契約の観念が広く浸透しています
が、中国では日本以上に、人のつながり
人に対する信頼性を中心に経済社会が動いています

株式の持ち合いに基づく契約慣行なども
日本に特殊なものですが、
それ以上に中国との取引は、その特殊性を理解することが必要とされます

中国市場のネット通販の可能性

これは、山下さんへの質問に含まれていました
私を含めて、大方の見方は、中国社会では
ネット通販は成立しないだろうと、つい最近まで思っていました

中国では、現実に商品がちゃんと送られてくるほどに業者を信用していませんし
一旦品物を受け取った消費者は、代金を払わないだろうと考えていました

B to B アリババのグループの中で、
決済機構を受け持つ支付宝・アリペイが中国独自の決済を行っています
業者は、消費者の仮想口座への入金を確認して商品を発送
消費者は商品を確認してから、仮想口座からの支払いを指示します

アリババ・グループの中で、C to C のタオバオ・淘宝では
この支払い方法が義務つけられており
ネットショッピングの手軽さを体験した中国人の間で
利用が拡大しています

中国の香港化が進む中で、
”一度利便性を体験すると、そのサービスから離れられなくなる”
という、人間の本質的な部分は、中国人でも違いはないと思えます

タオバオでは、B to C に重点をおいた
淘宝商城(たおばお・しゃんちぉん)を2008年4月に開設し
日本企業ではユニクロが2009年4月に出店しています

次回4月の、グロバル・マーケティング研究会は4月22日です

グローバル・マーケティング研究会 2月例会

2010年2月26日、明治大学経営学部、大石芳裕教授が主催される
グローバル・マーケティング研究会の2月例会に参加しました
1月の例会に続いて、私自身2回目の参加となります

今回は、インテージの佐藤公治さんの

How to successfully build wining brands on global basis
-Best practices by a leading multi-national company
”世界的に、強いブランドをどのようにうまく創り上げるか
-世界的に活躍する会社のベスト・プラクティス”
との表題での報告でした

報告は、3部構成で,

1. The brand building Frameworks(Best Practices)
ブランド構築フレームワーク
2. Marketer’s Wining Principles
マーケッター勝利の方程式
3. Case Studies
具体的なケースの説明、でした

今回興味を覚えたのはブランドの捉え方と、理論と実行の2点です

ブランドの捕らえ方

インターブランド・Interbrand社の調査結果に見られるように
私自身、ブランドとは、
いわゆる日本で、コーポレート・ブランドと呼ばれるものと考えています
世界的には、この捕らえ方が一般的です

この調査結果の22位に位置付けられる私が勤務していた会社
アメリカン・エキスプレスでも
”ブランドとは、消費者に対して、それが示唆し、提供するライフスタイルなど
消費者をわくわくさせ、強い願望を持って同化したいと思わせるもの”
と考えていました

日本では、ブランドを、プロダクト、カテゴリー、コーポレートブランドなどと
細分化して論じるのが一般的になっています
が、これは日本の商品流通経路が複雑なため
消費者に対してというよりも、一次的に流通業者に対して
商品名を覚えてもらう必要性が強調され
独自の理論的進化を遂げたものと考えていました

3年ほど前まで、国際的に展開する有名な外資系の消費財メーカーで
ブランド・マネージメント 消費者理解に基づくプロダクト・マーケティング
を行っていた佐藤さんにとっては

”差別化されているとは言え、
同じカテゴリーに複数の消費財を扱うメーカーにとっては
ブランドとは、商品・プロダクトブランドであって
メーカー名はあえて一切出さない”

”同じメーカーの商品であることが強調されると、
消費者から、お宅で作っている商品で、いったいどの商品が一番いいの?
との質問を受けることになり 、
場合によっては消費者からの信頼感を損なうリスクが顕在化する”

”日本のメーカーが、商品ブランドに合わせて
会社名をクレジットするのは、私には理解できない” とのこと

グローバルな消費財メーカーの考え方として
非常に説得力があり、納得できるものです
私自身、消費財メーカーが商品・プロダクト・ブランドのみに
特化しているのが、新鮮な、合理的な考え方に思えました
こう言う判断もあるのだなと、目からうろこ・・・でした

とすると、中途半端な日本的ブランドの展開は
根本的に、考え直さなければならない、ともいえますね

理論と実行

今回の佐藤さんの報告、
フレームワークと言い、勝利の方程式と言い
ここまで報告して、公開していただいていいのかな?
と思うほど理論的にしっかりしたものでした

このブランド構築フレームワーク
実際の実行には、国を越え、地域を越え
本当に苦労が絶えなかったことが、佐藤さんの言葉の端々に現れています

理論的に、しっかりと理解できたとしても
これを会社の中で、グローバルに実施していく
これはまったく別の次元の問題です

会社がグローバルにひとつの理論で動いていく
これは経営者の強いコミットメントの上で
この理論の教育が、経営幹部から、各リージョン、各国のトップ
現場の部長、課長、係長、スタッフに浸透していく
教育していく、そんなプロセスを実施できて初めて可能なことです

グローバルな会社は、はじめから他民族の移民社会を受け入れ
それぞれの文化の違いを超えて、会社の理念、理論を浸透させることに
非常な投資と時間をかけます
その結果、民族の違いを超えて、ひとつの会社として動いていけます

これを会社の経営者が、解って、実施して、初めてグローバル・カンパニィになれます

理論を理解することと、それを実行していくことには、大きな違いがあります

例会の後の、懇親会
およそ例会参加者の半数が懇親会に参加したようです
非常に、多くの方と改めて言葉を交わすことができ
非常に実りあるものでした
改めて、ありがとうございました

次回、3月の例会も決まりました
2010年3月26日、午後6時半から
ラオックス顧問の山下巌さんの報告となります

今から、楽しみにしています

追記: 2010年3月2日

大石芳裕教授については: Oishi Seminar
グローバル・マーケティング研究会の生い立ちについては: 国際マーケティング
これまでの成果については:日本企業のグローバル・マーケティング
2009年12月例会については: グローバル・マーケティング研究会に出ましたー福住俊男
2010年1月例会については: グローバル・マーケティング研究会に参加する